日本一美しい東成瀬トレッキング
実施日:平成26年9月14日(日)
今回は、栗駒国定公園須川高原の、ゆげ山・名残ヶ原(通称:お花畑)コースと須川湖・シラタマノキ湿原(泥炭層)コースを午前と午後に分けて歩くトレッキングツアーを企画、実施した。
行程は次のとおり。
7:30 秋田県庁出発、秋田駅東口経由で東成瀬村へ。
途中、道の駅十文字でトイレ休憩をはさみ、
10:00 栗駒山登山口駐車場到着。
午前のコースは、地獄釜、剣岳、ゆげ山、名残ヶ原、大日岩などの散策。
今回のガイドは、藤原優太郎さん(あきた山の學校)、斉藤憲一さん・藤原信雄さん(ともに現地ガイド)の3名。
登山口から登り始めてすぐのところに、大日岩(だいにちいわ) <左の写真>と呼ばれる大きな尖った岩がある。この岩は、以前はもっと高さがあったが、2008年の岩手宮城内陸地震により崩壊してしまった。それでも迫力があることに変わりはない。
また、今回は、途中途中でガイドから草花の解説があった。
前回の「夏の滝探訪と山菜料理体験」で、案内が一部の方にしか届かなかったという経験をふまえて、列の先頭・中・最後尾にガイドが入り、先頭ガイドの案内を中・最後尾で引き継ぐようにして、すべての方に解説を聞いていただけるように努めた。
<右写真:名残ヶ原> 時季になると様々な花が咲き乱れるため、地元の方からは「お花畑」とも呼ばれている。残念ながら今回のツアーではあまり花の姿は見られなかったが、後述のシラタマノキ(実)などはちょうどシーズンのため、多く目についた。
休憩中、ガイドの藤原優太郎さんから、湿原の乾燥化問題についてお話があった。「あまりに多くの人が山に入ると、人が種を媒介することにより、本来生えないはずの植物が生えてくることになってしまう。今はアシやヨシが多く生え、湿原の乾燥化が進んでしまっている。このことにより、年々花の数が少なくなってしまっている」
山を歩き景色を眺める私たちは楽しいものだが、それが山にとってどんな影響をもたらすのか。参加者もそれぞれ神妙な面持ちで耳を傾けていた。
歩き続けると、周囲の様相が一変する。<左写真:硫黄の製錬所跡地>この一帯では、昭和の初めころまで硫黄を採掘していたのだという。
精錬所では、採掘現場からトロッコで運んできた硫黄を製品にしていたのだという。現在はもう見る影もないが、散乱するレンガが確かにここでかつて人々が働いていたのだと教えてくれる。
ここからは下りとなり、登山口駐車場を目指した。
12:10 昼食会場の須川湖キャンプ場到着。
ここで昼食、休憩をとった。
13:00からは午後のコース(須川湖、シラタマノキ湿原)の散策。
※シラタマノキ<右の写真>とは、ツツジ科の常緑小低木。
高さは30cmほど。花の時期は7-8月ころ。写真にみえる白い玉状のものは、蕚(がく)が肥大して果実をおおったもの。名前のとおり白い玉ができることからシラタマノキの和名がある。かわいらしい見た目に反して、潰すとサリチル酸…湿布薬のような臭いがする。参加者も、そのギャップに驚いていたようだ。
このシラタマノキ湿原は、ツンドラ湿原とよばれる学術的に貴重な泥炭層がみられる。水分が多く寒冷な気候のもとでは、ミズゴケなどの枯死植物が完全に分解されないまま堆積し、柔らかで弾力性に富む泥炭が形成される。このシラタマノキ湿原の泥炭は、かつて鉄の採掘が行われていたことから、写真のように泥炭層の断面を観察することができる。この層は約4mの厚さがあり、水面すれすれの部分は、4,000年も昔に堆積した層だとのこと。参加者の方から、「景色を楽しむだけではなく、このように貴重な自然について学ぶことができてよかった」という声をいただいた。
散策終了後、「夢・なるせ直売所」に立ち寄り、当協議会で取り組んでいる米粉カステラの試食アンケートにご協力いただくとともに、店頭に並ぶ新鮮な野菜、きのこ等のお土産などを買い物していただいた。
それから、バスで道の駅十文字、秋田駅東口を経由し、17:10、秋田県庁到着、解散となった。